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障害者支援の現場で役立つアンガーマネジメント|16年働いた私の考え
2026年6月23日
障害者支援の現場では、利用者さんとの関わりや職員同士の連携の中で、怒りやイライラを感じる場面が少なくありません。
私自身、16年間障害者支援の現場で働く中で、何度も怒りと向き合ってきました。
そんな中でよく耳にするのが「アンガーマネジメント」という考え方です。
アンガーマネジメントとは、怒りの感情と上手に付き合う為の心理的なトレーニングのことで 、よく「6秒ルール」という言葉を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
「6秒ルール」とは、怒りのピークが最大になるのが6秒なので、それまで待てば自然と怒りが収まってくるというものです。
私は何回もこの「6秒ルール」を試してみましたが、なかなか怒りが収まりません。
怒りが収まるどころか、更に怒りが沸々と湧いてきてしまい、余計に怒りが強くなってしまうこともありました。
私には、この「6秒ルール」が向いていないのかも知れません。
そこで私は、人が怒るということについて考えてみました。
○人はなぜ怒るのか?
私なりに、人はどんな時に怒るのか、考えてみました。
・行列のできるお店に並んで待っていたら割り込みされた時
・自分のプライドを傷つけられた時
・子供や仕事の部下、施設の利用者さんなどがなかなか自分の言うことを聞いてくれない時
・自分は頑張っているのに、周りの人が協力してくれない時
・スポーツ観戦で応援しているチームが、逆転で負けた時
・自分、または自分の大切な人の身が脅かされている時 などなど、
色々な場面で人は怒ると思います。
これら全てにおいて共通するのは、 「自分の思い通りにならない時」です。
自分が並んでいる列に割り込みされたら、 「自分はちゃんとルール守って並んているのに、なんで割り込んでくるんだ」 と不快な気持ちになり、怒る人もいるでしょう。
また子供や職場の部下が自分の言うことを聞かないと、 「こっちは良かれと思って言っているのに、なんで分かってくれないんだ」 と怒る人もいると思います。
自分の大切な人の身が脅かされたら、 「この人と幸せな人生を生きたかってのに、なんで奪おうとするんだ」 と怒りが爆発してしまう人が多いと思います。
○怒らない方法
今説明した中で、最後の「自分、または自分の大切な人の身が脅かされている時」の場合は、どちらかと言えば怒った方が良いでしょう。
自分の大切な人が襲われているのに、穏やかに過ごしていられる人は、信用に関わる場合も出てくると思います。
それ以外の場合は、できるだけ怒らないで済ませられれば良いですね。
では、どのようにしたら怒らないでいられるようになるのでしょうか。
私自身がたどり着いた一つの考え方は、「自分の思い通りになることを当たり前と思わない」ということでした。
今までの人生を振り返ってみて下さい。 自分の思い通りになったことは、いくつあったでしょうか?
おそらく、ほとんど自分の思い通りになってないのではないでしょうか。
つまり、思い通りにいくことは、ほんの稀なことであり、思い通りにいかないことの方が当たり前になります。
そう考えると、思い通りにいかなかった時は、 「いつものことだ」 と思うようにして、思い通りにいった時は、 「思い通りにいって良かった、ありがとう」 と感謝の気持ちを持つことができるかも知れません。
「ありがとう」という言葉は、漢字で書くと「有難う」となり、「なかなか無いこと」という意味になります。
日頃からそのように思って生きていくことができれば、怒ることも少なくなるのでは無いでしょうか。
ただこれを完璧にできるのは、仙人か神様くらいでしょうから、私たちはそのような気持ちを心の片隅に置いておくだけでも良いと思います。
それだけでも、無駄に怒ることは、多少なり減っていくのではないでしょうか。

○障害者支援においての怒り
次に、障害者の人を支援する仕事において、怒りが出てしまう場面を考えてみたいと思います。
私は16年障害者支援の仕事に関わっており、その経験から考えてみました。
障害者支援の仕事というと、思いやりとか共感とか気付きなどが必要になるとよく言われます。
たしかに大事な事ですが、それが備わっていれば誰でもできる仕事ではないと思っています。
実際、障害者支援の仕事は色々な問題が発生することが多く、ストレスの掛かる仕事でもあります。
それでは、障害者支援の仕事では、どのような場面で怒りが発生し、どのように対応すれば良いのでしょうか。
①利用者の過大な要求
知的障害者の利用者との関わりにおいて、最初の関わりの時点で、特に注意が必要な点があります。
それは、その利用者に対して過剰に優しく接したり、過剰に利用者の要求に応えてしまうことです。
支援員として、その利用者に「良い人」と思ってもらい、その利用者と良好な関係性を築こうと、過剰に優しく接してしまう人がいます。
そうやって過剰に優しく、要求に応えてしまうと、その利用者は「それが当たり前」と思ってしまい、その後どんどん要求がエスカレートしてしまう場合があります。
最初のうちは、要求に応えられていたけれど、だんだん要求が多くなって、対応できなくなってしまいます。
そうなるとその利用者は、 「どうしてやってくれないの?」と、その支援員に不満を抱き始めます。
最初は「良い人」と思っていたその支援員のことが、だんだん「悪い人」と思うようになり、その支援員の話を聞かなくなったり、暴言や暴行などの問題行動に発展してしまう危険があります。
すると支援者側もだんだんとイライラしてきて、怒りが爆発する危険が生じてしまいます。
では、どうすればこのような状況を回避できるのでしょうか。
支援員として大切なことは、自分の気に入った特定の利用者にだけ特別な対応をすることなく、その人その人に合った適切な関わり方に徹することです。
利用者側と支援者側である程度の線引きをすることで、利用者さんも支援員に対して過度な要求をすることが減ってくるでしょう。
利用者にとって「良い人」になる必要はありません。
「良い人」ではなく、「安心できる人」であれば良く、そう心掛けることが支援者として大切なのだと思います。
②想定外の介助
例えば、入所施設でみてみると、想定外の介助が必要になる時が多くみられると思います。
特に夜間支援の時は、1人で20〜30人の利用者をみることになります。
夜間なんだから、利用者はみんな寝ていると思ってるかも知れませんが、決してそんなことはありません。
・なかなか眠れず、夜中に廊下を歩き回っている人
・寝ながら失禁してしまう人
・急に大きな声を出してしまう人がいて、周りの人から苦情が出る
夜間勤務では、その都度1人で対応しなければならず、仮眠が全く取れない時もあります。
そうなると、だんだん疲れが溜まってきてイライラしてしまうこともあります。
私もこのような経験を何度もしましたし、その都度イライラもしました。
そのイライラを利用者さんに当たることなかったですが、どうすればイライラせずに対応できるでしょうか。
それは、「期待しない」です。
「今日の夜勤は何事もなく平穏であってほしい」なんて思っている時ほど、 トラブルの多い日になりがちです。
はじめから、「今日の夜勤も大変だろうな」と思っておけば、トラブルが起きても、 「やっぱり」とイライラも半減することもあるでしょう。
正直、気持ちの持ちようです。
でもできるだけイライラしない方が、利用者さんに当たってしまうリスクも軽減されると思いますので、やってみる価値はあるのだと思います。
③先入観を持って利用者を見ない
・障害者の方はかわいそう
・障害者はみんな一生懸命生きている
・障害者に悪い人はいない
なんて考えている方はいませんか?
正直、全部違います。 障害者の中には
・障害者の特権を利用している
・努力することなく、その日を生きている
・悪いことを考えている
人はいっぱいいます。 でもそれは当たり前のことです。
障害者であろうと、健常者であろうと、同じ人間です。 人間は、良い事もすれば悪いこともします。
一生懸命頑張り続ける人もいれば、ダラダラ生きている人もいます。 どうやって楽に生きようかと悪知恵を働かせている人もいます。 支援者側が、利用者さんに対して過度に、
・かわいそう
・頑張っている
・良い人
と思い込んで関わっていると、いつの間にか裏切られたという気持ちになってしまい、 それが利用者さんに対して、怒りの感情を抱いてしまうことも十分考えられます。
そのような先入観を持って、この人はこうに違いないと思い込んで関わってしまうのは、本当に危険ですので、気をつけるようにした方がよいでしょう。

○最後に
このようにみていくと、やはり自分の思い通りの支援ができないと、利用者に対して怒りが沸いてくるものです。
「障害者はこうあるべき」などと、個人的な価値観や偏見で決めつけず、その人その人個人で全然違っているということを念頭に置いて、支援することをお勧めします。
障害者支援の仕事では、利用者さんの行動や想定外の出来事によって、怒りやイライラを感じることがあります。
しかし、その感情を無理に消そうとする必要はありません。
大切なのは、自分がなぜ怒っているのかを理解し、その感情と上手に付き合うことです。
利用者さんを理想化せず、一人の人間として向き合うこと。
そして、自分の思い通りにならないことを受け入れながら支援を続けていくこと。
それが長く福祉の仕事を続けるための大切な考え方ではないかと、私は16年間の現場経験を通して感じています。
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