• 障害者福祉から高齢者福祉へ。50代で転職して感じたこと

    2026年10月27日

    私は今月から転職し、これまで16年間働いてきた障害者福祉の分野から、高齢者福祉の分野へと移りました。

    今回の転職は、単に新しい仕事に挑戦したかったからではありません。

    これまで働いてきた中で、仕事の責任や量の多さから、再び心身の調子を崩しかねない状況になったことが大きな理由です。

    私は以前、適応障害になり、約1年半の休養を経験しています。

    その経験があったからこそ、今回は自分を守るために転職する決断をしました。

    現在は地域包括支援センターで働いていますが、障害者福祉とは違う部分も多く、日々新しいことを学んでいます。

    今回は、障害者福祉から高齢者福祉に転職した経緯や、実際に働いて感じたことについてお話ししたいと思います。

    1.転職を決めたきっかけ

    私が福祉の世界を目指したのは、母が末期がんになり、介護をしていたときでした。

    それまでは福祉とはまったく関係のない食品会社で働いていました。

    しかし、母の介護をする中で、さまざまな福祉サービスの方々と関わるようになり、次第に福祉の仕事に興味を持つようになりました。

    その後、私が選んだのは障害者福祉の分野でした。

    理由は、当時、特別な資格がなくても働き始められる職場があったからです。

    福祉の仕事に就きたいと思ったものの、何から始めればよいのか分からなかった私は、知的障害者の入所施設で働くことにしました。

    そこから16年間、入所施設や生活介護事業所、グループホームなど、さまざまな職場を経験しながら、福祉の仕事に必要な知識や技術を身につけてきました。

    私は障害者福祉の仕事そのものが嫌になったわけではありません。

    障害のある方々と関わることが嫌になったわけでもありません。

    問題だったのは、職場環境や働き方でした。

    生活介護事業所でサービス管理責任者として働いていたとき、上司である施設長からのパワハラが原因で適応障害になったことがあります。

    約1年半の休養を経て仕事に復帰し、それから7年が経ちました。

    その後、私は障害者グループホームの管理者兼サービス管理責任者として働くようになりました。

    しかし、今度は仕事量の多さと責任の重さから、再び心が壊れかけてしまったのです。

    一度、適応障害を経験していたからでしょうか。

    ふと、こんな思いが頭をよぎりました。

    「これ以上我慢すると、まずいことになる」

    このまま仕事を続けていたら、また心身の調子を崩してしまうかもしれない。

    そう感じた私は、グループホームの仕事を辞め、転職活動を始めました。

    今振り返ると、これは自分を守るために必要な行動だったと思っています。

    もちろん、周囲から理解してもらえたわけではありません。

    「責任から逃げた」「利用者さんを見捨てるなんて」と言われることもありました。

    福祉の仕事は、利用者さんの生活を支える仕事です。

    だからこそ、途中で仕事を辞めることに、後ろめたさを感じる人もいると思います。

    私自身も、いろいろな思いがありました。

    それでも、周囲の言葉を理由に仕事を続けていたら、本当に自分が壊れてしまうかもしれません。

    自分の心身を守るためには、環境を変えることも必要です。

    そう考えて、私は転職を決断しました。

    2.転職先について

    転職活動を始めたとき、私は一度、福祉の分野から離れてみようと考えました。

    福祉の仕事では、対応が難しい場面もあります。

    利用者さんやご家族からの相談や要望、時には苦情への対応など、精神的な負担を感じることも少なくありません。

    そのため、これまでとは違う分野で働くことも考えました。

    しかし、50代になってから、まったく経験のない仕事に挑戦するのは簡単ではありませんでした。

    実際に事務職やIT系の企業にも応募しましたが、面接に進むどころか、連絡すら来ないこともありました。

    そこで、私はこれまでの人生を振り返ってみました。

    そもそも、私が福祉の仕事を目指したのは、母の介護がきっかけでした。

    そして、父が認知症になり、介護について困っていたときに相談に行ったのが、地元の地域包括支援センターでした。

    地域包括支援センターは、高齢者やそのご家族が抱える介護や生活上の問題について、総合的に相談できる窓口です。

    介護予防に関する支援や、虐待への対応、成年後見制度などを活用した権利擁護の支援も行っています。

    高齢者が住み慣れた地域で生活を続けられるように、さまざまな面から支える役割を担っているのです。

    私は父の介護について相談に行ったとき、地域包括支援センターという場所があることを知りました。

    そのときの経験を思い出し、これまでの福祉の経験を生かしながら、別の分野に挑戦してみようと考えるようになりました。

    せっかく社会福祉士の資格も持っているのだから、地域包括支援センターで働いてみたい。

    そう思うようになったのです。

    そこで、地域包括支援センターの求人を探し、3か所ほど応募しました。

    そのうち2つの法人で面接まで進むことができました。

    最初に面接を受けた職場は残念ながら不採用でしたが、次に面接を受けた職場で採用していただくことができました。

    こうして私は、障害者福祉から高齢者福祉へと転職することになったのです。

    3.障害者福祉と高齢者福祉の違い

    障害者福祉と高齢者福祉は、同じ福祉の仕事でも、制度やサービスの仕組みが異なります。

    そのため、新しい職場では一から覚えなければならないことがたくさんあります。

    父の介護をしていたときに、デイサービスやショートステイなどの介護サービスを利用していたため、多少の知識はありました。

    しかし、自分がサービスを利用する家族の立場で知っていることと、仕事として相談を受け、支援につなげることは違います。

    覚えなければならないことが多く、50代になってから新しい知識を身につける大変さも感じています。

    それでも、実際に先輩と一緒に相談対応をしていると、少しずつ仕事の流れが分かるようになってきました。

    机に向かって勉強することも大切ですが、実際の現場で経験することで理解できることも多いのだと感じています。

    地域包括支援センターでは、高齢者やそのご家族から相談を受け、必要なサービスや支援につなげていきます。

    また、要支援の方の介護予防ケアプランの作成などにも関わります。

    自分たちが直接介護をしたり、サービスを提供したりするというよりも、相談者の状況を把握し、関係する事業所や専門職と連携しながら支援していく仕事です。

    そのため、電話対応や窓口での相談対応が中心になります。

    もちろん、電話や窓口だけで仕事が完結するわけではありません。

    利用者さんの自宅を訪問して相談に乗ることもありますし、ケアマネジャーやサービスを提供する事業所の方々と、利用者さんが抱える問題について話し合うこともあります。

    こうした関係機関との連携や情報共有は、以前の障害者福祉の仕事でも経験してきました。

    ただ、障害者福祉の分野には、基幹相談支援センターなど、地域での相談支援を担う機関があります。

    私自身は、これまでそうした機関と関わる機会があまりありませんでした。

    そのため、地域包括支援センターで働くことは、新しく学ぶことの多い新鮮な経験になっています。

    これまで身につけてきた福祉の知識や経験を生かしながら、新しい分野について学んでいく。

    そんな毎日を過ごしています。

    4.転職して良かったこと・悪かったこと

    転職して良かったと感じていることは、まず、休みが確保されていることです。

    私の現在の職場では、基本的に日曜日と祝日、年末年始の6日間が休みです。

    土曜日は出勤する日もあれば、休みの日もあります。

    そのため、以前の職場と比べて、休みの予定を立てやすくなりました。

    また、残業が少なく、仕事を家に持ち帰ることも禁止されています。

    利用者さんの個人情報を守るという意味でも、仕事とプライベートを分けることは大切なのだと思います。

    以前は、休みの日でも仕事をしなければならないことがありました。

    管理者兼サービス管理責任者という立場だったこともあり、仕事のことが頭から離れない日も少なくありませんでした。

    それに比べると、今は休みの日に家のことをしたり、自分自身の休息に時間を使ったりできるようになりました。

    仕事以外の時間を確保できることは、私にとって大きな変化です。

    一方で、転職して悪かったと感じることもあります。

    それは、給料が少し下がったことです。

    以前は障害者福祉の分野で、ある程度責任のある立場にいたため、それなりの給料をいただいていました。

    しかし、その責任の重さから、休みの日でも仕事をしなければならないことがあり、身体的にも精神的にも負担を感じていました。

    現在の職場では、幸いなことに人間関係にも恵まれています。

    困ったことがあれば、職員同士で助け合いながら取り組める体制ができています。

    まだ覚えなければならないことはたくさんありますが、分からないことを相談できる環境があるのは、とてもありがたいことです。

    給料が下がったことは残念ですが、休みを確保でき、安心して働ける環境があることを考えると、今の働き方は自分に合っているのではないかと感じています。

    もちろん、給料は生活していくうえで大切なものです。

    誰もが給料を下げて転職すればよいというわけではありません。

    ただ、私の場合は、給料だけでなく、心身への負担や休みの取りやすさ、人間関係なども含めて考えることが大切だったのだと思います。

    5.最後に

    障害者福祉から高齢者福祉に転職したことで、私は以前よりも前向きな気持ちで仕事に取り組めるようになりました。

    しかし、それは高齢者福祉だからという理由だけではないと思います。

    たまたま、今の職場の環境が自分に合っていたのかもしれません。

    高齢者福祉が障害者福祉よりも楽な仕事だとは限りません。

    特別養護老人ホームや介護老人保健施設などでは、夜勤があったり、身体的な負担が大きかったりする場合もあります。

    また、どのような仕事であっても、職場の人間関係が悪ければ、働き続けることがつらくなる可能性があります。

    実際に働いてみなければ分からないことも多いでしょう。

    だからこそ、転職を考えるときには、仕事内容や給料だけでなく、自分がどのような働き方をしたいのかを考えることが大切だと思います。

    私自身の経験から、転職先を選ぶときには、次のような点も確認しておくとよいと感じています。

    • 休日や年間休日数が明確になっているか
    • 固定残業代の有無や、実際の残業時間はどうなっているか
    • 転勤や異動の可能性はあるか
    • 困ったときに相談できる職場環境があるか
    • 自分の心身に無理のない働き方ができそうか

    もちろん、人によって重視する条件は違います。

    給料を重視する人もいれば、やりがいや仕事内容を重視する人もいるでしょう。

    私のように、心身への負担を減らし、仕事以外の時間も大切にしたいと考える人もいると思います。

    大切なのは、周囲の評価や期待だけで仕事を選ぶのではなく、自分にとって何が必要なのかを考えることではないでしょうか。

    福祉の仕事は、誰かを支える仕事です。

    だからこそ、利用者さんを支える自分自身のことも、大切にしなければならないと思います。

    無理をして働き続けた結果、自分自身が心身の調子を崩してしまっては、元も子もありません。

    私も、これまでの経験を振り返りながら、自分に合った働き方を探していきたいと思っています。

    もし今、仕事の責任や職場環境に悩み、転職を考えている方がいたら、一度、自分が本当に大切にしたいものは何なのかを考えてみてはいかがでしょうか。

    転職することだけが正解ではありません。

    今の職場で働き方を変えるという選択肢もあると思います。

    それでも、今の環境で働き続けることが難しいのであれば、別の場所で新しい一歩を踏み出すことも、一つの選択肢です。

    誰かを支えるためにも、まずは自分自身を大切にする。

    今回の転職を通じて、私はそのことを改めて感じました。

    福祉の仕事はやりがいが大きい反面、心身への負担も少なくありません。一人で悩みを抱え込まず、国が用意している専門の相談窓口やガイドラインもぜひ参考にしてください。

    現役の福祉職の視点からも、こうした公的サポートの活用を推奨します。

    ・参考:介護労働者の雇用管理の改善|厚生労働省 ※

    ・参考:こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト|厚生労働省

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